「久々に晴れたわね」
「昨日までの雨がウソみたいだね」
 別荘の庭にコンロなどを用意しながら、アリサとすずかは雲一つない空を見上げる。
「それもあるけど、快晴の七夕なんて久々じゃない」
「そう言えばそうだね。去年も一昨年も雨だったもんね」
「やっぱり晴れは良いわよ。それに今日はなのはとヴィヴィオも来るしね」
 ミッドと地球の休みがたまたまかみ合ったため、なのはがヴィヴィオを連れて久々に海鳴に来るのだ。
「さて、こっちはOKね。あとはノエルさんの作ってくれてる笹を飾るだけね」


「ヴィヴィオちゃん、浴衣似合ってるよ」
「えへへ。ありがとう、すずかさん」
そう言うと、ヴィヴィオはその場でクルリと一回転する。
 夕方、予定通りの時間に転送ポートから現われたなのはとヴィヴィオは、すぐにアリサとすずかによって浴衣に着替えさせられていた。
「にしてもヴィヴィオ。あんた、おっきくなったわね」
「うん。去年ぐらいからぐーんと伸びたんだよ」
「わたしもビックリだよ。急に伸びたからね。ヴィヴィオと同じ頃のわたしたちの身長より大きいもん」
 うちわで扇ぎながら、嬉しそうになのはは話す。
「そうよね。なのはやフェイトたちにはアタシもすずかも会ってたけど、ヴィヴィオには2年近く会ってなかったんだから」
「1年に一度は会ってるもんね。はやてちゃんは最近、ビデオレターになってるけど」
「昇進しすぎるのも良し悪しね」
「リンディさんレベルまで行くと融通が利くと言うか、無茶な要求が通るんだけど」
 なのはの話に、すずかは苦笑する。
「リンディさんと言えば、こないだデパートで会ったけど、あり得ないぐらい肌がピチピチなんだけど、ミッドチルダの人はみんなあんな感じなの?」
「リンディさんが特別だと思う。レティさんはそれなりに歳をとってるから」
「まぁ、桃子さんも孫がいるようには見えないから、なにかあるんだろうけど」
「うーん、やっぱり甘い物を食べてるからな?」
「なら女の子はみんなお肌ピチピチだよ」
「赤い飴を舐めてるのよ、きっと!!」
「お母さんはともかく、リンディさんは有り得そうで怖い」
「ママたちの願い事、一つは『リンディさんみたいにいつまでも若々しく』で良いんじゃない」
 ヴィヴィオの一言に、3人は声をあげて笑う。そうして笑い合う彼女たちは、頭上できらめく星たちのように輝いていた。




オマケ




 管理局のロビーに飾られた笹の前で、クロノとフェイトは苦笑いを浮かべながらコーヒーを飲んでいた。
「はやての短冊、切実だな」
「こればかりは私たちじゃどうしようもないよね、お兄ちゃん」
 そう話すハラオウン兄妹の見つめる短冊には「昇進より彼氏が欲しいBYH・Y」と書かれていた。

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