「うーん……」

 

書類を見ながら眉間にシワを寄せる『リリカルなのはムービー』のプロデューサーに、『鈴宮ハルミの消失』のプロデューサーが声を掛ける。

 

「どうしました?」

 

「いや、管理局のエースの話を撮ってるだろ?あれで、監修の提督から『爆発が地味じゃないですかね』って言われたんだよ。で、さらに火薬類の調達をしないといけなくてな」

 

「爆発が地味ですか……」

 

「で、参考にって二人の記録映像を渡されたんだが……」

 

『これがわたしの全力全開!!スタァァライトォッブレイカァァァァッ!』

 

  ズチューーーン……

 

「……マジですか?」

 

「残念ながら事実だ。いまから約12年前に撮られた映像だ」

 

 あまりに凄まじさに、ハルミのプロデューサーは絶句する。

 

「だから現場のやつらはいつも以上に必死で作ってる。昨日もこの場面を再現しようと空中戦を何度も撮ってたよ」

 

ちなみに、あまりに激しいシーンになったため、当初の予定で対決シーンを撮る予定だった臨海地区では撮影が出来なくなり、管理局の提供による閉鎖予定の訓練施設での撮影になり、そのおかげでこのシーンは実際よりも派手な演出となった。

 

「火薬類もかなり準備したし、特殊効果もケチらずに存分に使ってる。これでダメなら仕方ないだろうってレベルだよ」

 

 そう言って、プロデューサーは手元の書類を会計課に送信した。

 

 

その後、完成したフィルムは「あのエースの感動の出会いを再現」と言うセリフとともに、管理局管理下の世界の劇場(+第97管理外世界のとある喫茶店)で公開され、その迫力なある映像で大ヒットしたと言う。

 

余談であるが、管理局の広報部長は0号試写で号泣しながら「小さいなのはちゃんとフェイトちゃんは可愛いですよね」と言う言葉を漏らしたため、二人の人物からピンク色のバインドと金色のバインドで拘束され、本局の清掃員がやって来るまで屋上の掲揚台に吊るされていたという。

 

さらに余談。

 

翌日、「なのはママもフェイトママも、可愛いのは当然なんですから、あんまり怒っちゃいけないです」と教導官と執務官の2人のママを叱る小学生と、それを宥める司書長の姿が無限書庫で目撃された。

 

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